【脱SES】の方法論

離職率を劇的に改善させる中小企業診断士・キャリアコンサルタントの森田です。
今回は、2次請け以降のIT企業が、会社の成長を社員に見せるために必要な【脱SES】。その方法について述べたいと思います。
2次請け以降のIT企業の従業員は数多くの古巣の方を知っていますが、皆さん必ず感じていることの一つに、このままSESで客先に派遣されている限り先が見えないという不安でした。
一昔前にシステムエンジニア35歳定年説がありました。

それは決してなくなったわけではなく、かつて言われていたハードな仕事による体力的な不安での定年説よりも、組織の中でいかに管理職になっていくか=SESの現場から抜けられるか、を考える年齢としての、現場を去るという意味での定年説を現場のエンジニアたちが持っていることです。
現実、そうなのでしょうか?

 

結論は、SESの先を見せること

いきなり結論ですが、SESの先を社員に見せればそんな不安も感じさせないのに、と思うのです。
客先常駐型では、どんなに出世してもそのプロジェクトのリーダーが限界であり、管理職やマネージャーになって自社に戻るんだ、というキャリアパスは2次請け以降のIT企業にはないに等しかったです。
わたしは2次請け以降のIT企業を5社経験していますが、現場のリーダーから先にどうやればなれるのか、その基準を見たことも聞いたこともなかった。部長級の管理職は1次請けのIT企業から引き抜いてくるパターンでして、生え抜きがどんなに出世しても現場の中にしか居場所が用意されていない。そんな会社ばかりでした。
なので、自分のキャリアパスはこの会社にないと感じ、辞めていく。これが35歳定年説の現在の姿だと思います。
そこで、【脱SES】による、SESの先を社員に見せることが必要となるのです。それが【脱SES】の方法でもあるからです。

 

SESとは何の略?

SESとは【System Engineering Service】いわゆる業務委託契約の亜種で、システムエンジニア特有のサービスの提供自体を目的とした契約形態です。
派遣契約にとても近いですが、派遣は指揮命令系統が派遣先にあることに対して、SESでは指揮命令系統は自社にあります。
あくまでも自社の指示に従って、常駐先である顧客に対して技術力、労働力を提供することで、対価を頂くものです。
その特徴は下記の3つです。
・対価は基本的に時間単価なので、請負契約での契約金額より総じて安い。
・成果物の製造責任を負わないため、保守運用でも使われる契約形態。
・それでも建前上、指揮命令系統は受注元にある。
ざっくり言ってしまうと、顧客の会社に常駐してシステムを作る弄る直す契約、ですね。ほぼ客先常駐型ですが、あまりに顧客の場所が立地的に離れていると自社内SESもあるようです。
保守運用だと、長いと10年近く同じ顧客の会社に常駐することにもなり。そうなるとシステムの老朽化に伴い技術も陳腐化していくという、回避できない技術的落差が発生します。わたしも4年間、同じ現場で保守運用を担当したことありますが、何世代も前の言語を使っていたので新しい技術に対応できなくなり。

【脱SES】、おっとその前に

脱SESに向かう前に、いくつか会社の内部を改革する必要があります。
いきなり、SES以外の新事業を始めるからコア人材を選抜しよう、社内キーマンを選出しよう、と慌ててはいけません。順番があります。
その順番とは、離職率を劇的に改善させる3つのポイントそのままです。
いわく、
1.経営理念の浸透
2.コミュニケーションの活性化
3.個人目標の設定
これを、経営者が温度をもって音頭を取って実行していくこと。それが脱SESへの道なのです。そして、結果的に離職率も改善されます。離職率を改善しようとしたら最終的には脱SESへの道となる、でもOKです。
この3つを実施していくことで何が起こるのか。
それが、組織文化・風土と呼ばれる社内体質の改善です。
皆が自分の仕事にやりがいを持って活き活きと活動している。会社の理念に共感し、自分の役割を認識し、目標を達成することで自分の成長を実感し、さらなる次の段階を目指して挑戦している。
チームの仲間に対してできることは進んで協力し、お互いの成長を喜び合う組織風土作りに一役買っている。
こんな、しっかりした基盤が形成され、活き活きとした目標の実現に向かって活動している会社は、環境の変化に対しても非常に強いですからね。

【脱SES】の方法論

脱SESに向かう前に、会社全体が活き活き組織となっていることが求められます。
そして、組織文化・風土の基盤が整備されたと経営者が判断したとき。そのときこそが【脱SES】に向かって動くときなのです。
もちろん、組織文化・風土は醸成していかなければなりません。そのための施策も必要となってきます。しかし、一度基盤ができれば後退はありません。なのでこの時点で、経営理念に賛同し実践している人材を選抜して、少人数で【脱SES】の活動していくのです。
それが、【脱SES】への方法論です。
それには経営者の想いと人選が大切なのは言うまでもありません。何としてもやり遂げる、形にする情熱も必要です。が、もしかしたらそれ以上に大切になってくることがあります。
それが、社員への道程の公開です。
【脱SES】の方針をトップである経営者が定めて、人員を募り、検討する。これを社内に通知することで、全社員に知らせることで、賛同と協力を得る。公開しないで秘密裏に、なんてことはしないでくださいね。そんなサプライズはいりません。だって、これってみんなの希望、明るい未来を考えてのことなのですから。【脱SES】の進捗度合の公開。これが社員のモチベーションの向上ともなります。

 

まとめは、SESの先を見せること

脱SESとは環境の変化に対応することとイコールです。いつまでも月〇〇万円で人売りしている会社の未来は決して明るくないのです。
特に現在は人の採用が大変難しくなっていて、SESに必須である商品の仕入である、エンジニアの採用自体が困難になっていますからね。そして、冒頭の通りSESに頼っていると、その先が見えてこないと、社員は辞めていきます。かつてのわたしのように。
自社サービスや自社製品を作っても良し、自社開発や自社請負を行っても良し。SIerになるという会社のブレない方針と計画。
これらには本当にリスクがあり、SESという人さえ雇えれば安全安心な経営から一歩踏み出すのは大変勇気が必要となると思います。
しかし、社員に明るい未来を見せるためにも、SESの先を見せるためにも、【脱SES】の方法を探っていくこと。方法論はいろいろありますが、その前提になる組織文化・風土をいかに醸成させていくか。
それは決して絵空事ではなく、経営者が社員のために想いをさらけ出すIT企業こそが、来たるAI時代の中、生き残れるでしょう。


働くを、楽しもう。