【脱SES】は本当に可能なのか

離職率を劇的に改善させる中小企業診断士・キャリアコンサルタントの森田です。
今回は、2次請け以降のIT企業が、会社の成長を社員に見せるために必要な【脱SES】。それが本当に可能なのかについて述べたいと思います。
2次請け以降のIT企業の経営者と何人もお話していますが、皆さんやはり、将来は自社サービスで勝負したい気持ちを持っていらっしゃいました。その想いは真摯なもので、それを夢として自分の心にしまい込むことなく、ビジョンとして社内に意志表示してあげれば、きっと社員も喜ぶのになぁと感じていました。
しかし、あくまで想いは夢であって、SESから抜けるのって難しくない?とのイメージを経営者の方々が持っていたことは事実です。
現実、そうなのでしょうか?

結論は、【脱SES】は可能です

いきなり結論ですが、SESに頼らない経営は可能です。
語弊があるかもなのであらかじめ書いてしまうと、SESを今すぐ辞めろ、一切するなよこんちくしょう、ということではありません。あくまで社員に明るい未来を見せるための、社員を定着させ離職率を劇的に改善させる方法論としての、【脱SES】です。
わたしは2次請け以降のIT企業を5社経験していますが、元請けとなるSIer【System Integration】いわゆる一次請けの企業も経験しています。そして、その会社って元々2次請け3次請けをやっていたところなのです。
そう、ある日を境にほぼSESから自社請負、自社サービスの開発・展開へと経営戦略をシフトチェンジしていったのです!まぁある日っていうのは、会社が買収された日なんですけどね。
経営層が総取り換えされたときに、示された会社の新方針、ビジョンを達成するための活動。
それが、【脱SES】に向けての小集団活動でした。

 

SESってなーに?

SESとは【System Engineering Service】いわゆる業務委託契約、請負契約に近いものです。
対象物の作成を請け負った場合、例えば社内システム構築プロジェクトであったら作って試験して納めて完了、といったように完成して終わり。
ですが、SESでは対象物の完成は目的としないで、発注元である客先に常駐して対象物を作成する、というサービスの提供自体を目的とするものです。
特徴としては以下の3つです。
・対価は基本、時間単価。月160時間で〇〇万円、前後20Hは含む。超過分は別途精算、とか。
・具体的な成果物はハッキリ定めておかない。提供するのはあくまで労働力。
・派遣労働とは違うのは、指揮命令系統が受注元にあるくらい。
ざっくり言ってしまうと、SIerの指定した場所に月いくらで派遣する契約、ですね。だいたい発注元のオフィス内が多いです。
発注元といっても、業界も業態も規模も様々ですから、常駐場所によっては居住環境がいい現場、ただそこに座っているのもツラい現場など多種多彩。保守運用を除くと、だいたい半年から長くても2、3年で開発完了しますから、その都度異動となるのである意味飽きない仕事なのです。
落ち着かないとも言えますが。

脱SES、大切なのは人選と

いざ、脱SESに向けてタスクフォースだの実行委員会だの立ち上げる会社って、実は意外と多いのですよ。
いろいろな部署、現場から選りすぐりのメンバーで構成されたチームにて新サービスの検討をしていきます。毎週1回は会議して、半年から1年後に方針を決定して経営者の稟議を取りに行く、みたいな。
これ、必ず失敗します。そんなメンバーの経験あります。たいした提案できません。
もしくは、現場が決まらなくて自社内にいる社員にいっちょ自社請負やらせてみるか、も結構多いのですよ。
SESで現場に派遣できなきゃ食い扶持与えられないし、自社請負で作業出来たら会社は儲かる、社員は仕事にありつける、それでお客様から評価高ければリピートも来るの一石三鳥、みたいな。
これも、必ず失敗します。そんなプロジェクトのマネジャー経験あります。大炎上です。
脱SESを考えるなら、必ず経営者が音頭を取って、経営者こそが主体的に実行しなければなりません。
会社の方針を定めている大本は経営理念ですよね。ということは、脱SESを考える=経営理念の実践ということになりますし、もしかしたら経営理念自体、新しくなるかもしれない大事業だからです。
やるからには、人選が大切です。新サービスでも自社請負でも自社開発でも、携わる人間は必ず、経営理念に賛同する少人数でまず行うべきなのです。
選りすぐりのメンバーたちは、本当に会社の成長に携わりたいと考えていますか?
自社内にいる社員たちは、本当に会社に貢献しようと考えていますか?
何より、経営者は社員が賛同し拠りどころになるような経営理念、ミッションやビジョンを示していますか?

経営者の音頭と温度が、【脱SES】に必要

そこで、経営者の音頭と温度が必要となってきます。あ、今やれすぐやれもっとやれ、という話ではないですよ。ご安心ください。
IT企業の経営者であれば、SESだけでずっと経営していくのは難しい、特に昨今の超人手不足だと、SESに必要不可欠なエンジニアの採用自体が困難なことを理解していると思います。離職率も高いですからね、SESは。わたしが離職率をあげていた張本人でもありますけど。
そう、SESだけやっていれば安定した売上を確保できる時代は終わりつつあるのです。
自社サービス、自社製品、元請への事業展開。SIerになるために実行しなければならない数多くの施策。本当に、これらにはリスクがあります。
だがしかし。
経営者がどのように会社の方向性を定め、共有していくのか。
それを社員に浸透させるためには、様々な方法がありますが、まずは【脱SES】という大方針を掲げることが何よりも重要、だと思います。
【脱SES】を実現する!という強固な想いです。

まとめは、脱SESは可能です

SESは安定した収益を確保するために有効なもので、特に成長期のIT企業は経営が安定するまでは、と頼るものであります。
しかし、SESでは社員が技術的に育ちにくい、やりたいことができない、おもしろくないとなり、会社に長年いる自分が想像できなくなり、辞めていってしまう。定着しにくく、離職率は高いまま。いつしかSESに頼るどころか、SESで経営を維持せざるおえなくなります。
だから、SESで様々な現場を経験してきた社員の知識と経験を価値あるものとするためにも、【脱SES】について一緒に考えていこう!
そう社員に言ってあげて下さい。きっとその言葉だけで、社員はグッときます。わたし言われたとき、めっちゃ嬉しかった。会社への帰属意識100倍増でした。
2次請け以降のIT企業が、明るい未来を社員に見せるためには【脱SES】。そう確信しています。
そして、それは決して不可能なことではなく、経営者が先頭に立って社員に想いを伝えるIT企業こそが、この変化の激しい業界の中、生き残れるでしょう。

 

働くを、楽しもう。